2019年11月5日火曜日

デスク席から(60)「県民のみなさんと訪れた島」

ハンセン病問題の取材に関わって18年になります。
といっても細々とではありますが…。
最初に取材させてもらったのは、ハンセン病療養所で暮らす三重県出身者を対象にした「里帰り事業」。
三重県が行っているもので、始まって半世紀以上が経ちました。
療養所入所者に短期間でも故郷に帰ってきてもらうのが目的ですが、実家まで帰れた人は少なかったといいます。
コースは、伊勢神宮やなばなの里、赤目の滝、榊原温泉といった観光地が中心。
それでも参加者からは「三重の空気が吸えて嬉しい」「やっぱり古里」といった声が聞かれました。

私が取材を始めた2001年頃は、三重県出身者が暮らす療養所のうち3施設から参加がありましたが、ここ数年は、岡山県の邑久光明園のみ。毎年春に数人が帰ってこられるだけです。
その理由は、言うまでもなく高齢化。
入所者の平均年齢は86歳。お亡くなりになったり、身体が不自由な方が多くなりました。
そんな中、三重でハンセン病問題に取り組む人たちから、こんな声が聞かれるようになりました。
「三重に帰ってもらうのが難しいなら、こちらから出かけていこう」と。
そんな声を受け先月、実現したことがあります。

ハンセン病療養所フィールドワーク。
県民から希望者を募って岡山県にあるふたつの国立療養所を訪ね、隔離政策の歴史を知り三重県出身者と交流してもらおうというもの。
ふれあい福祉協会の助成を受けて三重県、ハンセン病問題を共に考える会、三重テレビ放送が実施し、約30人が参加してくださいました。
1日で岡山往復というハードなスケジュールでしたが、参加者の皆さんは患者が収容された桟橋や一時的に収容された建物を目の当たりにし、納骨堂にも手を合わせました。
そして、三重県出身の入所者とも懇談。
帰りのバスで参加者からは「国の政策によって人生がゆがめられると思うとこわい」「入所している人がみな明るくてほっとした」「全く光のあたっていない問題が社会にあることに気づいた。それが前進するように努めたい」などという感想が聞かれました。
このフィールドワークの模様は来年1月に特別番組として放送する予定ですが、11月6日(水)のMieライブ(午後5時40分~)の中でもお伝えします。

つらい体験を語って下さった入所者のみなさん、療養所職員の方々、そして参加者のみなさん、
ありがとうございました。